耕作放棄地再生利用緊急対策

耕作放棄地再生利用緊急対策実施要綱



平成21年4月1日付け20農振第2207号
最終改正 平成23年4月1日付け22農振第2141号
農林水産事務次官依命通知

第1 趣旨

 世界の食料需給のひっ迫傾向、我が国の農地面積の減少等、食料及び農業をめぐる諸情勢が変化する中で、国民に対する食料自給力を強化するためには、農業生産の基盤である農地の確保及びその有効利用を図っていくことが重要である。
 このため、食料・農業・農村基本計画(平成22年3月30日閣議決定)においては、「農業上重要な地域を中心に耕作放棄地の再生・有効利用を図る」ことが掲げられている。
 耕作放棄地の発生要因や荒廃状況、権利関係、耕作放棄地の所有者や周辺農業者等引受手となり得る者の態様等は地域によって様々であり、耕作放棄地の再生・利用を図るためには、地域の実情に精通した多様な主体の参画・協働とその発意や創意工夫によるきめ細かな取組が必要である。
 これらを踏まえ、耕作放棄地を再生・利用する取組やこれに附帯する施設等の整備、農地利用調整、営農開始後のフォローアップ等の地域の取組を総合的・包括的に支援する「耕作放棄地再生利用緊急対策」(以下「本対策」という。)を実施する。

第2 対策の内容

 本対策は、第5に定める都道府県耕作放棄地対策協議会(以下「都道府県協議会」という。)及び地域耕作放棄地対策協議会(以下「地域協議会」という。)を実施主体とし、その内容は次のとおりとする。
1 耕作放棄地再生利用交付金
 別紙1の定めるところに従い、耕作放棄地再生利用交付金(以下「再生利用交付金」という。)を交付し、耕作放棄地を再生・利用する取組やこれに附帯する施設等の補完整備を推進する。

第3 実施期間

 本対策の実施期間は、平成21年度から平成25年度までの5年間とする。

第4 対策推進の基本的考え方

1 国、地方公共団体、関係団体等の連携
 耕作放棄地の再生・利用を図るためには、地域の実情に精通した多様な主体の参画・協働とその発意や創意工夫によるきめ細かな取組が重要であり、また、耕作放棄地の再生・利用は、耕作放棄地が存在することの地域における悪影響の解消はもとより、食料自給力の強化や多面的機能の発揮を通じ、農業者、地域住民及び国民全体の利益につながる取組である。
 このため、本対策の推進に当たっては、国、地方公共団体、関係団体等は適切な役割分担を踏まえ、相互に連携を図る必要がある。

2 耕作放棄地対策協議会の役割
 都道府県協議会及び地域協議会は、本対策の実施主体として、再生利用交付金の適正な管理・執行、地域の実情に精通した多様な主体の参画・協働とその発意や創意工夫によるきめ細かな取組に係る合意形成等、本対策の円滑な推進に取り組むものとする。

3 推進上の留意点
(1)本対策の推進に当たっては、集団的なまとまりのある農地の中に存在する耕作放棄地や周辺の農業生産等に悪影響を及ぼす耕作放棄地の再生・利用に特に努めるものとし、また、農業経営の安定、国内生産力の確保、担い手の育成・確保や農地の面的集積にも留意しつつ推進するものとする。
(2)また、水土里情報利活用促進事業実施要綱(平成18年4月3日付け17農振第2015号農林水産事務次官依命通知)に基づく水土里情報利活用促進事業により整備される農地情報データベースの活用を図ること等により、本対策を効率的かつ効果的に推進するものとする。

第5 耕作放棄地対策協議会

1 本対策の実施主体として、農林水産省農村振興局長(以下「農村振興局長」という。)が別に定めるところにより、都道府県の区域をその区域とする都道府県協議会及び市町村の区域等をその区域とする地域協議会を設置するものとする。

2 都道府県協議会及び地域協議会は、次に定める要件を満たすものとする。
(1)代表者が定められていること。
(2)都道府県協議会においては、都道府県、都道府県農業会議、都道府県農業公社、都道府県農業協同組合中央会、都道府県土地改良事業団体連合会等から、地域協議会においては、市町村、農業委員会、市町村農業公社、農業協同組合、土地改良区等から、当該都道府県又は当該地域の実情に応じて会員が構成されていること。また、導入作物の候補及び選定方針の検討等の際に普及指導センターによる技術及び経営に関する指導が必要な地域にあっては、地域協議会の会員に普及指導センターを含めるものとすること。
(3)本対策に係る事務手続を適正かつ効率的に行うため、協議会の意思決定の方法、事務及び会計の処理方法及びその責任者、財産管理の方法、公印の管理及び使用の方法及びその責任者、内部監査の方法等を明確にした協議会の運営等に係る規約その他の規程が定められていること。
(4)(3)の規約その他の規程において、1つの手続につき複数の者が関与する等、事務手続に係る不正を未然に防止する仕組みが設けられており、かつ、その執行体制が整備されていること。
(5)(2)に掲げる組織の担当部局のうち1以上が協議会の事務局の一部を構成していること、又は(2)に掲げる組織の役員、管理職その他本対策の実施に係る職責を有する者のうち1人以上が当該協議会における事務及び会計の処理に責任を有する立場にあること。
(6)協議会の事業計画が作成されており、かつ、その内容が本対策の趣旨に沿っていること。

3 都道府県協議会の代表者(以下「都道府県協議会長」という。)は、本対策を実施しようとするときは、農村振興局長が別に定めるところにより、都道府県協議会の運営等に係る規約その他の規程を定め、2の要件を満たすことについて、当該都道府県協議会が事務所を置く都道府県を管轄する地方農政局長等(北海道にあっては農村振興局長、沖縄県にあっては内閣府沖縄総合事務局長、その他の都府県にあっては地方農政局長をいう。以下同じ。)の承認を受けなければならない。

4 地域協議会の代表者(以下「地域協議会長」という。)は、本対策を実施しようとするときは、農村振興局長が別に定めるところにより、地域協議会の運営等に係る規約その他の規程を定め、2の要件を満たすことについて、都道府県協議会長の承認を受けなければならない。また、この承認を行った都道府県協議会長は、その旨を地方農政局長等に報告するものとする。

5 都道府県協議会長は、都道府県協議会の区域において、農業者戸別所得補償制度推進事業実施要綱(平成22年4月1日付け22経営第7135号農林水産事務次官依命通知)別紙第1の都道府県農業再生協議会が設置される場合には、都道府県協議会の機能を都道府県農業再生協議会に統合するよう努めるものとする。

6 地域協議会長は、地域協議会の区域において、農業者戸別所得補償制度推進事業実施要綱(平成22年4月1日付け22経営第7135号農林水産事務次官依命通知)別紙第2の地域農業再生協議会が設置される場合には、地域協議会の機能を地域農業再生協議会に統合するよう努めるものとする。

第6 実施の手続

1 都道府県協議会関係
(1)都道府県協議会長は、本対策を実施しようとする場合は、農村振興局長が別に定めるところにより、次に掲げる計画等を作成し、地方農政局長等の承認を受けなければならない。また、これを変更する場合も同様とする。
ア 再生利用推進計画
イ 業務方法書
(2)都道府県協議会長は、当該年度に行う別紙1第1の3の再生利用活動附帯事業の実施計画を地方農政局長等に提出するものとする。また、これを変更する場合も同様とする。
(3)都道府県協議会長は、2により地域協議会長から提出された再生利用実施計画の写しを地方農政局長等に提出するものとする。

2 地域協議会関係
 地域協議会長は、本対策を実施しようとする場合は、農村振興局長が別に定めるところにより、次に掲げる計画を作成し、都道府県協議会長に提出するものとする。また、これを変更する場合も同様とする。
(1)集落単位等個々の地区単位で定める再生利用実施計画
(2)当該年度に地域協議会が行う別紙1第1の3の再生利用活動附帯事業の実施計画

第7 助成措置

 国は、予算の範囲内において、都道府県協議会に対し、本対策を実施するために必要な経費について助成するものとする。

第8 各種施策との連携

 本対策は、農地法(昭和27年法律第229号)、農業振興地域の整備に関する法律(昭和44年法律第58号)、農業経営基盤強化促進法(昭和55年法律第65号)等の関連諸制度及び次に掲げる施策との連携に留意の上実施するものとする。
 1 農業生産基盤の整備に関する施策
 2 戸別所得補償に関する施策
 3 担い手の育成・確保に関する施策
 4 新規就農者の育成・確保に関する施策
 5 農地の確保・有効利用の促進に関する施策
 6 鳥獣による被害防止対策の推進に関する施策
 7 耕作放棄地の発生の防止に関する施策
 8 雇用機会の創出に関する施策

第9 報告

 本対策の各年度の実績については、別紙1第5の定めるところに従い、都道府県協議会長は地方農政局長等に、地域協議会長は都道府県協議会長に報告するものとする。

第10 委任

 本対策の実施に関し必要な事項は、この要綱に定めるもののほか、農村振興局長が別に定めるものとする。

附 則

1 ブロック協議会
(1)都道府県の地域区分の単位等における都道府県、市町村、関係団体等が、各々の役割分担等を勘案し適当と認めるときは、これらを会員とする耕作放棄地対策協議会(以下「ブロック協議会」という。)を本対策の実施主体とすることができる。
(2)ブロック協議会は、都道府県協議会と地域協議会双方の機能を併せ持つものであり、ブロック協議会の設置、ブロック協議会による本対策の実施等については、この要綱における都道府県協議会及び地域協議会に関する規定を準用するものとし、この場合、都道府県協議会と地域協議会との間の手続等は省略するものとする。

2 耕作放棄地再生利用推進事業実施要綱(平成20年10月16日付け20農振第1254号農林水産事務次官依命通知)に基づき設置された都道府県協議会及び地域協議会を本対策の実施主体とする場合は、改めて当該協議会の設置手続を経る必要はない。但し、本対策の実施に伴う当該協議会の運営等に係る規約その他の規程の一部変更や第6に定める実施の手続は行わなければならない。

附 則

1 この通知は、平成22年4月1日から施行する。

2 この通知による改正後の耕作放棄地再生利用緊急対策実施要綱(平成21年4月1日付け20農振第2207号農林水産事務次官依命通知)の規定にかかわらず、平成21年度中に着手した耕作放棄地再生利用緊急対策の取扱いについては、なお従前の例によるものとする。

附 則

1 この通知は、平成23年4月1日から施行する。

2 この通知による改正後の耕作放棄地再生利用緊急対策実施要綱(平成21年4月1日付け20農振第2207号農林水産事務次官依命通知)の規定にかかわらず、平成22年度中に着手した耕作放棄地再生利用緊急対策の取扱いについては、なお従前の例によるものとする。

3 既に設置されている都道府県協議会が、自らの機能を農業者戸別所得補償制度推進事業実施要綱(平成23年4月1日付け22経営第7135号農林水産事務次官依命通知)別紙第1の都道府県農業再生協議会に統合することを目的として解散する場合には、都道府県農業再生協議会は都道府県協議会が国から交付された再生利用交付金により積み立てた資金の全額を譲り受けるとともに、本対策の実施に係る全ての事務を継承するものとする。

4 既に設置されている地域協議会が、自らの機能を農業者戸別所得補償制度推進事業実施要綱(平成23年4月1日付け22経営第7135号農林水産事務次官依命通知)別紙第2の地域農業再生協議会に統合することを目的として解散する場合には、地域農業再生協議会は地域協議会が都道府県協議会から交付された再生利用交付金の残額の全額を譲り受けるとともに、本対策の実施に係る全ての事務を継承するものとする。


(別紙1)耕作放棄地再生利用交付金に係る事業の実施方法(PDF:21kb)

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